85点【この恋と、その未来。】 森橋ビンゴ/Nardack
評価【85点】
~~~あらすじ~~~
超理不尽な三人の姉の下、不遇な家庭生活を過ごしてきた松永四郎。
その地獄から逃れるため、新設された全寮制の高校へと入学を決めた彼は、期待を胸に単身広島へ。
知らない土地、耳慣れない言葉、そして何よりもあの姉達との不条理な日々から離れた高揚感に浸る四郎だったが、ルームメイトとなった織田未来は、複雑な心を持つ……女性!?
四郎と未来、二人の奇妙な共同生活が始まる――。
『東雲侑子』のコンビで贈る、ためらいと切なさの青春ストーリー。
最初の投稿ということで、
私が個人的に今まで読んだ中で
総合的に一番好きなラノベを紹介したいと思います。
基本的に私のブログではネタバレはしません。
5巻完結。この作者が3巻以上続いたことにまず驚きというか、感謝というか。
ご自身もあとがきで「3巻以上続かない呪いが…」みたいな発言をされてましたね。
前作の東雲侑子シリーズもかなり面白かった、というかもはやラノベの域超えてました。
ので、3巻完結が少し残念でした。
ちなみにこの作品には東雲侑子シリーズのキャラも出てきます。
この作品も東雲侑子シリーズに劣らず、ラノベとして出版されたものの、内容は深くとても現実味があります。
言い回しや語りなどは東雲侑子シリーズの方が好きですが、
キャラクターの心情、人間関係などはこちらの方がより細かく描かれています。
主人公の四郎が
心は男の子、体は女の子の性障害を持った未来に恋をしてしまう。
未来は同居人の四郎にだけ性別を明かし、普段は男として生活している。
四郎は3人の高圧的な姉に鍛えられたせいか、
強く、人に優しいために四郎に心惹かれていく女の子たちが次第に現れる。
「未来にこの気持ちがバレないようにしないと、未来はきっと傷つく」
四郎は他の女の子と関係を持ちながらも、未来への禁断の恋を隠しながら生活する。
未来は学校ではイケメンという立ち位置で女子からはモテモテ。
心は男のため、女の子を好きになるが自分は女ということを隠さなくてはいけない。
心は男なのに女の身体であることに葛藤する。
様々なキャラクターが恋をします。
その恋についてみんながどう向き合っていくか、その葛藤が本当にリアルに描かれています。
すごい投げやりな言葉ですが、本当にクオリティが高いです。
面白いラノベや感動するラノベはありますが、ラノベでこんなに心に在り続ける作品はなかなか出会えないです。
たったの5巻。ですが、その少ない巻数でも濃さと重みは自信を持って人に薦めることができます。
5巻ということで、多少は回収しきれてないシーンや納得出来ないところもあります。が、締め方は個人的にかなり良かったと思いました。
ちなみに舞台は広島ということで、
広島の色んな場所や方言などが出てくるので広島県民にはたまらないと思いますよ。
『普段アニメに慣れていてあまりラノベは読まない』
『読むまでがめんどくさい』
『ラノベは長いし飽きる』
そんな方でも読みやすい一作ではないでしょうか?
学生モノではありますがこの作品に関しては年齢層はあまり関係なく読めると思います。
夢中でページをめくり続け、この作品を読み終えたその瞬間、
今までになかった何かが心に芽生えていますよ。